• morioka

2010年1月 2日 14:58

「もりおか、ばいばい」
斜め後ろに座るおかっぱ頭の少女が、窓の外の風景にお別れの挨拶をしている。
新幹線にはめられた小さな窓には、見慣れたビルや看板が一瞬現れては、すぐさま消え去っていく。

小学生の時、おばあちゃんにプレゼントしたミッキーのオルゴール。
居間のドアの上に飾られている、正体不明の仮面。
小さい頃に怖がっていた顔の形をした帽子掛け。
お風呂上りにバスタオルをかけていた階段の手すり。
家のそこらじゅうに飾ってある子供たちの写真。
別れ際に、「仕事のことが、気がかりだ」と涙をうっすら浮かべていた両親。

レンズ越しに見るには勿体無いくらいのそれらの風景を、
そばに置いておきたいからシャッターを切る。


「今、良いところなんだよ」
斜め後ろに座るおかっぱ頭の少女は、携帯の液晶を覗き込みながら一生懸命シャッターを切っている。
後ろに流れ去っていく真っ白な北上盆地を忘れないように。